高齢の両親が老後も快適に暮らすために、マンションへの引越が決まりました。私は親の家を賃貸に出して、両親が住む賃貸マンションの家賃をまかなうプランを立てました。
ところが父も母も「家を貸すのは大変だから売った方がいい」と言います。
家賃の回収から業務全般を管理会社に委託するから、両親が実行するのはリフォーム代金の支払いくらいであることを説明しました。
しかし、いくら私が話をしても、父が納得して契約をする必要がありますし、何か大きなことを新しく始めるのが嫌なようでした。
私がフォローするから大丈夫だと説明しても末っ娘でただの主婦ですし、父母からしてみれば頼りないと思ったのかもしれません。
私は親の家の「賃貸」を断念して「売却」もやむなしと考え始めていました。
長男様 おなーりー ご立腹です!
父と母が「マンションに引っ越しすることにしたから家を処分しようと思う」という内容を長男に伝えたのだと思います。
突然、長兄から私のところへ電話がかかってきました。
長兄:「おまえは、勝手な事してっ!あの家の不動産価値がどれだけあるか、わかってるのか?売るなんて言い出して!」
私:「私は売るなんて言ってない。賃貸に出した方が良いって、どんなに説明しても、私以外の三人(父・母・次兄)が『売りたい』って言うから仕方ないよね?」
長兄:「いいから、おまえはもう口出しするなっ!」
私:「何言ってんの?ずーっと私が引越の件を進めてきて、家の賃貸と売却の見積もりだって、そっちに知らせたじゃん。今まで何も関与しなかったのに『売る』ってなったら、何で急に出てくんの?」
長兄:「今まで仕事が忙しかったけど…これからはオレが決めるから」
私:「???」

しいて言うなら長兄がやったのは、私が両親のマンション物件探しで挫折しそうになった時に「市営地下鉄ブルーラインにこだわらずに、グリーンラインでも探せば?」って一言助言した事くらいです。
実家の不用品の山を片付ける時も、物件チェックの内覧の時も、不動産会社に依頼した見積書が上がってきた時も、連絡しても長兄は「忙しい」の一点張りでした。
次兄は、家を残すと争いの元になるから親の代で処分した方が良いという考えでした。
長兄も次兄も妹の私も、実家から車で30分程度の距離にそれぞれ家を所有しており、将来的にも親と同居する予定はありません。
親の家の相続でよく問題になるのは、親と同居の長男が実家の取得や住む権利を主張するケースが多いようです。私たちの場合は「住む vs 売る」ではなく「賃貸 vs 売却」をどうするかという問題になりました。
急に長男が仕切り出した!
両親いわく、長男が全部やると言い出して、数日中に「T急住宅リース㈱」の担当者が実家にプランニングの説明で訪問するという事でした。両親に私もその日に同席する旨を伝えました。
長兄はワンマンで、周りの言う事は一切聞かないタイプです。父と母は、自己主張をあまりしないタイプです。
実家の元長兄の部屋を片付けるように2ヶ月前から、母からも私からも伝えてありましたが、全然やる気配がありません。家具も荷物もかなり残っていて、引越は12日後に迫っています。
長兄に話が通じないのは、充分わかっていましたが、あんなにヒドイとは想定外でした。
当日11時に住宅リースの担当者が訪問すると聞いていたので、私は自分の車を5分離れたコインパーキングに駐車して、10時半頃実家に着きました。長兄か住宅リースの人の為に実家の車庫は空けておきました。
私:「家、売りたいんじゃないの?」
父母:「○○(長兄の名前)が全部うまくやるから任せろって」
私:「ふーん。まあ私も賃貸の方が良いと思ってたから…」
ほどなくして、11時数分前に住宅リースの担当者が一人到着しました。とりあえず私と両親で出迎えて、リビングのテーブルにつきました。
若い女性担当者で駅から歩いて来たとの事。リフォームの査定は後日別の専門スタッフが訪問するという…
定刻より数分遅れて長兄が到着しました。2階のリビングに入って来た長兄が担当者にあいさつをした次の瞬間…私と目が合いました。
長兄:「何でおまえがここにいるんだ?こいつは関係ないんで!」
担当者は長兄の言葉に戸惑っています。
母:「関係ないって事はないでしょう…」
私は内心ムカッとしましたが黙っていました。
担当者はパンフレットを開き、住宅リースについて説明を始めました。私もその会社の資料請求をしていて、管理業務手数料が8%と高いので候補から外していました。
どうやら不動産会社に比べて3%ほど手数料が高いのは、業務代行ではなく家主から住宅を借り上げてリースに出す形式ゆえです。例えば何か裁判ざたとか、問題が起きた際には家主に代わって対応してくれるという事でした。
要するに料金が高くても、丸投げできてラクという事です。
理解できない長男の行動
説明中、私が質問をすると長兄が露骨にシャットダウンするので、なるべくおとなしく聞いていました。
長兄:「入居条件について、タバコもペットも楽器も可」ついには「普通借家で」契約すると言い出したので、私は待ったをかけました。
私:「普通借家か定期借家かは、重要なことなので家族で相談させてください」
※定期借家=契約時に設定した年数が経過すれば、家主側からも契約解除できる。
※普通借家=入居者が希望する限りずっと住める。家主都合で退去依頼できない。売却したい時に自由にできない。
私:「タバコのにおいは、ついてしまうと取り除けないのでNG。ペットと楽器は応相談でまずは募集をかけたいと思います」
母:「そうね。タバコは嫌よね」
担当者:「では家賃の設定は、他物件を参考に15万円でいかがでしょう」
私:「最初に16万円とかで掲載して、応募がなければ15万円に下げてもいいんですよね?」
担当者:「それは構いません。ただ高く設定し過ぎて、値下げを繰り返すと物件のイメージダウンです」
私:「親の引越先のマンションと、この家にかかる経費を計算すると15万円では赤字なんです」
私は、親の移住プランについて書き留めているノートの試算のページを開きました。
次の瞬間、長兄が私の努力の結晶のノートをひったくって遠くに放り投げました!
長兄:「こいつが散々、引っかき回しているんですよ」
私:「!!!」
つづく
親が家を売却するとわかったとたんに、血相を変えて賃貸計画をワンマンで進め出した長男。
私が思うに、長男のやり取りの節々から矛盾や疑問点が浮き彫りとなりました。長男の目的は、親の老後の生活を守ることではなく財産(不動産)を守ることではないかと見て取れました。
長男が親のものをまるで自分のもののように権利を主張している姿を見て、私は不思議でした。まさかとは思いますが古い思想を引きずっているのでしょうか?
昔の家督相続制度の名残から、長男はすべて相続するのではないか、長男や長女であるという理由だけで他の兄弟よりも多く相続する権利があるのではないかと考える方もいらっしゃいます。
しかし、現在の民法は、そのようにはなっていません。
[引用:参考サイト]
遺産相続で長男との争いを避けるための5つのポイント