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認知症 物とられ妄想・作話症状とは?私たち家族の戸惑いと対応

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認知症の周辺症状として「意欲低下、物盗られ妄想、作話、幻視、徘徊」があります。

いずれも周りにいる家族は難しい対応を迫られます。すぐに解決できる内容ではありませんが、本人の気持ちに寄り添う対応が症状緩和の糸口になりえます。

 

本人の深層心理の不安から症状が出ているケースも多いので、周りの人は否定せずに共感する言葉を伝え、味方であることをわかってもらうのです。

認知症の周辺にでてくる行動や発言にはショックな内容もけっこうあります。

共感なんてできないという場合もあると思います。ケーススタディとして私の経験談をお伝えします。

 

心配事から作話(妄想)が始まる

20年前の話です。私と夫の結婚を夫の両親が反対しました。

なぜか私が「せきついカリエス」という病気を患っているという話が夫の母の口から出てきました。

作話症状です。何の根拠もない妄想を義母が作ってしまいました。

夫の父もどこまで本気にしたのかはわかりませんが、とにかく夫の両親は私たちの結婚に反対しました。

夫の両親には認めてもらえないまま私たちは結婚しました。

 

夫の母はウソをついているのではなく、心配事があると妄想を広げ、真実だと思い込んでいるみたいでした。(作話症状)

物盗られ妄想で家族を疑う

私たちが結婚して5年後に娘が生まれました。夫の両親にとっては初孫だったので、家族3人でに実家を訪れました。

私(嫁)を認めてくれたわけでも、結婚を反対したことを謝ってくれたわけでもありませんが、夫の、両親を大切にしたいという思いを尊重して娘(孫)を連れて、お盆やお正月に顔を見せに実家を訪れるようになりました。

車で5時間、新幹線を使うと2時間程の距離で年に1〜2回ですが、家族3人で帰省していました。

 

いつからか義母は「片腕の男が泥棒に入って来る」とか「 知り合いの人に鉢植えの花を盗られた」とか、ひんぱんに話すようになりました。

義父にそのことを確かめると、「ばあさんのたわ言だから気にせんでいい」と言います。

 

陰をおびる青いアジサイ

見過ごすのではなく向き合うのが大事

いつしか、夫の実家に私達が帰省して2泊滞在し 、自宅に戻ると電話がかかってきました。 義母が「嫁(私)にお金を盗まれた」と言うのです。

 

夫:「 お母さんが、君がお金を盗ったって言ってるんだけど 」

私:「私はお金なんて盗ってないよ」

夫:「そうだよね。ごめん」 電話口に戻り、、、

夫:「 うちの奥さんは盗ってないよ…だから盗ってないって! 」だんだん夫の口調が強くなっていきます。

夫:「 ふざけんなっ!あんまりおかしなことを言うと、もう帰らないからな!」

 

私は義母の作話症状だと察しがついたので、夫に近づき小声で伝えました 。

私:「お母さんの精神の病気が言わせてるんだから、しょうがないよ。 怒っちゃだめ!受け流すしかないの」

 

夫が母との電話を終えたので 、、、

私:「今度から実家に帰省した際は、お金2万円置いてきた方がいいと思う」

 

義母は、私たちが来ると食料品の買い出しに行ってお金がかかるとこぼしていたので、夫に言って1万円をそっと母の部屋に置いてきたのでした。

しかし「嫁がお金を盗む」という作話が出ていることから、妄想をおさえるには2万円必要と判断しました。

帰省時には、最後にそっと2万円を置いて去るようにしてから 、義母は私にお金を盗られたと言わなくなりました。

 

妄想 作話症状がエスカレート

やがて義母は「隣の家に電気を盗まれている」と言い出すようになりました。

隣家では電気温水器を導入したらしく、夜間にお湯を沸かしている音か何かが気になったのでしょうか ?

 

義母は電力会社のカスタマーセンターに電話をかけ 「隣の家に電気を盗まれて困っている」と主張したり、寝る前にブレーカーを下げて電気を止めるようになりました。

義母の考えでは、自宅のブレーカーを下げておくと電気が盗まれないと思っているみたいです。

朝?いつ?ブレーカーを戻しているのかよく分かりませんが、数時間冷蔵庫も止まってしまうので食品の腐敗も心配です。トイレの電気もつかないので、母は夜中は懐中電灯持参でトイレに行っているようです。

 

私は、夫と義父に義母を精神科か心療内科かどこかに受診させる必要があると伝えました。しかし義母が医療機関にかかることはありませんでした。

 

樹木と雲の画像イメージ

平穏な生活がくずれていく

「物盗られ妄想」のせいで義母は、人付き合いもしなくなり、今度は「夫にお金を取盗られた」と言うようになりました。 義父は無実にもかかわらず、義母はすごい剣幕で怒って来くるそうです。

友人知人、ご近所、兄弟と疎遠になり、趣味もそれほどない義母は 食料品の買い出しばかりするようになりました。

冷蔵庫はぎゅうぎゅうで、冷凍室も閉まらないらしくセロハンテープでとめてあります。( 2ドアの冷蔵庫を使用中)

毎日、母が夜中にブレーカーを下げてしまうので、家の中に腐敗臭が漂い、小虫も飛んでいます。

 

 異変に気付いて対応する大切さ

義母に妄想や作話症状が始まってから、何年もの年月が過ぎてしまいました。

おそらく60歳過ぎから義母の異変は始まっていました。理想を言えば、同居している義父(伴侶)がおかしいと気がついた時点で対応を始めていれば、義母の病状の進行をもっとおさえられたのではないかと考えます。

義母と義父の夫婦関係は良いとは言えず、さらに病院嫌いの義母を受診させることは簡単ではないと推察します。

義父の立場からしたら義母の様子が変だと気付いても、医療機関の何科に行けばいいのか?判断がつかなかったり、精神科に連れて行くのは難しかったのかもしれません。

 

現実問題、遠方に住む私たちでは、義母の医療機関の受診についてなかなか説得や実行ができずにいました。

 

高齢の夫婦ほど、安心して暮らすためにはお互いに配慮が大事なのだと痛感します。義父と義母の平穏な生活を祈るばかりです。

 

〈参考サイト〉

認知症どんな病気なの?

認知症|病気解説|医療法人 池澤クリニック|心療内科・精神科・内科