高等学校等就学支援金とは、国による制度で高校(学校設置者)が支援金を代理受領して授業料に充当するものです。
公立高校の授業料は全額が就学支援金でまかなえるので授業料の支払いはありません。申請者への入金(振込み等)はなく、支援金(授業料)のやり取りは国と学校で完結します。
私立高校は授業料(諸費用)が支援金や補助金でカバーできない場合もあり、支援金・補助金の充当減額のタイミングや諸費用の支払方法については各学校の対応になります。
高等学校等就学支援金の申し込みは、高校入学後、学校の案内に従って手続きをします。在学する高校が必要なタイミングでアナウンスをおこなうので、就学支援金の申請を忘れてしまうといった心配はご無用です。
私は自分の子供が受験生の時、国の「高等学校等就学支援金」や県の「学費補助金」のお知らせを中学校経由で受け取るたびに「よくわからないし手続きがむずかしそう…」と思っていました。
申請とか手続きというと、むずかしいイメージで不安になってしまいますが、高校(学校)が主体となって申請のフォローを行い、問い合わせにも応じてくれます。基本的に心配しなくても大丈夫です。
私は神奈川県在住で娘は県内の公立(市立)高校へ進学しました。実際の経験から参考例として高校入学時にかかったお金や、支援金が支給された時期などをお伝えしていきます。
高等学校等就学支援金 しくみと流れ
公立高校の場合、国の支援金のみで授業料を満額補えるので以下の流れになります。
私立高校の場合は、他に(県などの)補助金の申請が必要になったり、授業料を負担した後に減額調整されたり、学校によっても対応が異なります。
公立高校の授業料は月額9.900円、年額118.800円です。高等学校等就学支援金は年収約910万円未満の世帯が対象で118.800円が支給されます。(年収は目安で算定式があります)
公立高校の授業料の年額を支給する「いわゆる高校無償化」を目指す国の施策です。
4月と6月頃、高校からアナウンスがあるので、配布される申し込み書類を確認・記入して学校へ提出します。(合格発表時に渡される入学手続きの書類の中にも就学支援金に関するものが入っています)
一度ではなく複数回、書類の確認や記入提出が必要ですが都度学校側からのお知らせに合わせて進めていきます。
8月と10月に県の教育委員会から「高等学校等就学支援金 支給決定通知書」の封書が郵送で自宅に届きました。
8月付けで、月額9900円 4~6月分 計29.700円
10月付けで、月額9900円 7~翌6月分 計118.800円
支給決定額は支給予定額として、学校設置者が代理受領し授業料に充当します。
つまり公立高校の授業料は、満額が国から学校設置者(県や市)に直接支給されます。よって基本的には生徒ならびに保護者が授業料を支払う事も支援金を受け取る事もありません。
※詳細については記事の終わりに神奈川県のHPのリンクを載せておきます。
公立高校でかかるお金
高等学校等就学支援金が授業料に充当され、他にかかる固定費用もないため、公立高校では月々の支払いは特にありません。
部活動などで費用がかかる場合があります。
認識しておく費用としては、修学旅行にかかる代金です。
参考例をあげておきます。
沖縄方面修学旅行 3泊4日 10万円
修学旅行は2年次の秋の予定で、代金は一括払いか分割払いを選択します。
分割払いなら、入学年の8月~翌年の5月まで毎月1万円×10ヶ月の口座引き落としとなります。
学校や年度により修学旅行の行き先や内容も異なりますので参考としてください。
公立高校 入学時にかかる費用
年次費等は学校により若干異なるので参考例です。
授業料は支援金で充当されるので支払いはありませんが、後述で私立高校と比較するために記載しておきます。
入学金 5.650円
制服代例 50.000円
以下年間額
(授業料 118.800円→実際には払わない)
年次費 20.600円
学校生活補助費 7.000円
PTA・生徒会費 9.700円
教材費 3.000~5.500円
入学金と諸費用の年額を合計すると、公立高校で初年度にかかった費用は 98.450円 およそ10万円でした。
制服がない公立高校の場合は初年度の費用は5万円程度となりますね。
[希望者のみにかかる費用]
電子辞書購入 31.000円
スタディサプリ(団体割引加入) 9.180円
[その他]
通学定期代
駐輪場代など
私立高校でかかる費用
今回、実際に入学した公立高校と、入学するかもしれなかった私立高校でかかる費用を比較してみました。
併願校の私立高校の生徒募集要項に記載されている入学後の費用に改めて目を通すと、公立と私立では金額に差がかなり出ることを痛感しました。
[ある私立高校の例]
入学金 200.000円
(最大10万円の補助金適用可)
以下はすべて年額です。
(授業料 444.000円)
施設維持費 108.000円
教育充実費 48.000円
施設費 200.000円(1年次のみ)
諸会費 34.200円
入会金 9.000円(1年次のみ)
合計 843.200円
制服代?教科書代?
学年費?タブレット代も?
私立高校へ進学の場合、県の学費支援制度を併用して最大444.000円の補助金が適用されたとしても、少なくとも55万円ほど1年次に支払うことになります。
私立高校の制服代や入学手続き以降に明らかになるその他の費用については、私にはわかりません。ただ私が知る範囲で初年度に高校にかかる費用は、公立は約10万円、私立は約55万円という試算結果となりました。
試算の一例ですが、公立と私立でかかる費用の差額、初年度は約45万円でした。
※年収や学校によって、かかる費用が変わってくるので参考としてください。
入学してみないとわからない費用とは、私立高校の入学後の費用の案内の欄外に「※上記費用のほかに学年費(学年預かり金)を納入していただきます」という記載がありました。この段階では金額が明示されていません。
あと気になるのは、修学旅行の代金ですね。私立高校だと修学旅行の行き先が海外というケースも多いです。短期留学を実施する学校もあります。
修学旅行や留学の費用についても認識しておく必要がありますね。
私立高校なら学費補助金も申請する
公立高校の進学時=「高等学校等就学支援金」
私立高校の進学時には、さらに県の制度である「学費補助金」も加えて申請します。
私立高校の進学時=「高等学校等就学支援金」+「学費補助金」
→授業料補助額 最大444.000円
学費補助金は、所得区分、対象年収、県在住、県内設置の私立高校かなどの確認事項があります。
[神奈川県の学費補助金の概要]
- 入学補助10万円
- 年収約590万円未満の世帯で私立高校の授業料が実質無償化
- 所得区分により授業料の補助金額が変わる
- 年収約910万円超で対象外
神奈川県のHPのリンクを載せておきます。
私立高等学校等生徒学費補助金について - 神奈川県ホームページ
まとめ
受験の結果次第で、私立高校か公立高校か進学先が変わります。
私立と公立を比較すると、かかる費用にかなり差があることがわかります。
私立高校にかかる学費支援制度として、国の「高等学校等就学支援金」と県の「学費補助金」があり、いずれも入学後に申請を行います。
高校の合格発表を終えるまで私立と公立どちらに行くかはわからないので、保護者としては子供を見守りつつ、必要なお金と心の準備を進めておきたいものです。