私は、高齢の未亡人のお宅を訪問したことがきっかけで、実家の両親の住み替えについて真剣に考え始めました。たくさんの物と家具に占拠された一軒家、そこで一人で暮らす様子は危機迫るものがありました。
テレビ等で見る「ゴミ屋敷」にはなっていません。ただ、不用な家具や物が多いせいで、生活が不自由になっているのはあきらかでした。
ヘルパーさんを頼って暮らしているそうで、掃除はしてもらえても、生活スペースを確保するような大がかりな片付けをしてくれる人はいません。
介護ベッドは場所を取ります。寝室のレイアウト変更をして生活導線を確保したら、もっと安心で快適に過ごせるはずです。
もしかしたら同じような状況になっている独居老人は多いのかもしれません。
決して他人事ではなく、身近な問題だと感じました。
「断捨離」の思想や美学はさておき、身を助ける意味で「身辺整理」というか「片付け」は重要なことだと知りました。「断捨離」という言葉が好きではない方もいらっしゃるようなので、代わりに「ダウンサイジング」と言いかえても良いかもしれません。
とにかく自分や家族が動けるうちに、先々の生活についてしっかりシュミレーションして準備しておくことが大切ですね。
長年住む家で多くの物が手に負えなくなる時
数年前私は、夫の伯母(おば)のお宅にお邪魔した時に、住まいの状況に衝撃を受けました。未亡人で80代の伯母は、2階建ての一戸建てに一人で住んでいます。
お子さん(亡くなっただんなさんの連れ子さん)との縁も切れてしまい、ヘルパーさんを頼って暮らしているそうです。
伯母は足が不自由で、自宅では入浴も自炊もできないので、浴室やキッチンも使われていない雰囲気です。2階にはもう何年も足を踏み入れていないそうです。
おばが大半を過ごす寝室は、ほとんど使っていないと思われる書棚が置かれ、大きな介護用ベッド、仏壇(ぶつだん)諸々でほとんどスペースがうまっています。家具がぎゅうぎゅう詰めで決して快適な空間になっていません。
使っている部屋も使っていない部屋も物が山積みになっています。
そして、人がさわらなくなって長年放置された物々が負のオーラを放っているのです。私は霊感のたぐいは持ち合わせていませんが、表面のホコリだけではない何かよどんだ雰囲気がそこにありました。
老後の生活を守るのは誰?
伯母には、自分で稼いだお金と、亡き夫が残してくれた遺産で貯金が数千万円あるそうです。
長年住んでいる自宅には思い出や愛着もあるとは思います。しかし、足が不自由な伯母が家を出てバリアフリーなマンションに引っ越せるだけの充分なお金を持っています。
私の夫が住み替えをすすめましたが、伯母は言いました。
おば:「引越しできるならしたいけど、○○(夫の名前)くん、一体誰がそれをやってくれる?」
夫は返す言葉がありませんでした。
確かに伯母には、新居を見つけて、荷物をまとめて、引越しを手伝ってくれる身内はいません。
新幹線で2時間かかる離れた所に住む甥(おい)の立場では、口では言っても実際には面倒をみてあげられません。
遠方に住んでいても伯母との関係性が深ければ、住み替えの段取りや契約をすることは可能でしょうが…甥(夫)は行動には移しませんでした。
私は歯がゆい気持ちで見ていましたが、その状況は教訓として考えさせられました。
断捨離いつやるの?今でしょっ!
一戸建ての高齢者の住まい…余っているはずのスペースが無駄になり、手付かずの不用品の山、不自由な暮らし。
自分の両親も伴侶に先立たれたら、夫のおばと同じ状況になりうる…他人事じゃない!
私は40代で親は70代、今ちゃんと考えて行動すれば何とかなる!
シニアの選択(引越)
私の両親の家は先祖代々の土地でもないし、会社も店もやっていません。
自宅近くには本当に何もなく、買い物や病院も遠くて不便。下手にスペースがあるから物ばかり増えて生活しづらい家になっています。
3人の子供は、みんな独立して家も購入済みで、実家で同居をする予定は特にありません。
両親がこの先もこの家に住み続ける理由ってあるのかな?
父にとっては、苦労して手に入れた自分の城であり、家族の成長と共に過ごしたマイホームなので一番思い入れが強いと思います。
私は父の気持ちを考慮しつつ、住空間も周辺環境も便利で暮らしやすいマンションへの引越しという選択しがある事を認識してもらうべく行動を開始したのでした。
まとめ
- 高齢者は住居スペースが有効利用されずに不自由な暮らしをしているケースが多い
- 物が住まいを圧迫していたら断捨離を開始しましょう
- 人生100年時代、老後こそ快適な生活を送りたいですよね
- 誰しも、現状の暮らしを見直し、10年後20年後に備えておくといいかもしれません